第11回/会議は本当に議論する場になっているだろうか?
顧問先の会社から僕はいろんな会議に招かれることが多い。
先日も、売上高60億円程度の中堅企業の経営会議に出席した。出席者は社長、役員3名、経理課長、顧問税理士と僕、全部で7名である。
月に一度の定例経営会議なので、月次決算報告から始まり、人事制度やベースアップ、賞与支給、新規営業の状況、客先とのトラブルなど、ありとあらゆる経営課題について議論される。
月次決算報告では、経理課長が4つの事業部門別損益および3拠点別損益の状況を報告し、続けて貸借対照表の状況、資金繰り状況を説明する。それに対し社長と僕そして顧問税理士が質問し、役員と経理課長が答えるというパターンだ。
社長が「B事業部は前年同月より、なぜ3%も粗利率が高くなったのか」と聞くと、営業担当取締役は「今月は粗利率の高いf商品とm商品が売れたためです」と答える。黙って聞いていると「ああ、そうか」とここで議論が終わってしまうことが多い。これでは会議=議論とは言えない。ただの報告会だ。
「営業担当がどのような(具体的に…)販促策を実施した結果、C客先に3千万円、E客先に4千2百万円の売上が立ちました。商品的には、粗利率が高いf商品とm商品が前年同月より5千5百万円多く売れて、売上構成比率が35%となったため、前年同月より3%粗利率が高くなりました。」
営業担当取締役は、少なくともこのように答えないといけなかった。そうすると、次にこんな議論になり、的確な指示・命令が出せる。
「C客先とE客先に対して行ったY営業所の具体的な営業方法と販促策を、直ちに他の営業所にも共有すること!」
「同じ時間を使って営業をするなら、品質も粗利率も高いfやmのような商品をいかにお値打ち価格で買っていただくか、そこを徹底して営業活動をするように!」
「粗利率の低い商品はどれだけあるのかすぐに調査し、販売可能性について報告すること。売れそうもないものは、思い切って取扱いを止める。残っている在庫は原価まで下げてでも売り切ること!」
「異常に時間がかかる商談の相手先、決裁時間やプロセスの長い相手先は攻め方を変えよう。なるべく会社のトップに近い権限者に直接交渉しよう。それが難しそうなら、営業を止めて、別の顧客や販売チャネルを探そう!」
こんな具合に議論は進み、具体策を次々に実行していかなくては会議の意味がない。皆さんの会社の会議はどうだろうか。冷静に、客観的に評価しなおしてほしい。会議の議題である経営課題が真の原因を捉えていて、それを具体的にどう改善すれば、いつまでに解決するのか、その「解決方法」と「期限」と「責任者」を明確に決めているだろうか。議事録として記録に残しているか。そして、会議はダラダラ時間をかけてやるものではなく、短い時間で議論するための事前準備(前もってアジェンダと議題の要旨を参加者に事前配布する)ができているだろうか。
会議は、違う観点からの意見をなるべく多く、集中的に戦わせると真の課題や具体策が見えてくるものだ。会議を本当に議論する場に変身させよう!