安本の視点 前文

はじめに

既存の枠組みや慣習にとらわれていては、世の中に役立つ革新的な事業を起こすことはできない。

大企業は何かと小回りが利かず、イノベーションを起こすには社内に不向きな障壁が多い。そこで革新的な中小企業、とくに起業したてのベンチャー企業と組んで、その弱点をカバーしようという大企業が目立って増えてきた。逆な見方をすれば、中小企業が大企業を喰う、将来の方向性を左右する時代がやってきたと言える。そのような中小企業にとっては、正にチャンス到来である。

本コラムの読者の皆さんは、この環境変化の非常に激しい中で、世の中に役立つ製品やサービスを作りだそうと毎日毎日奮闘努力していることだろう。その一助となるべく、大志ある経営者のために未来経営塾は生まれた。過去は変えられないが、現在とその延長線上にある未来なら変えられるのだ。

未来経営塾ホームページ上で公開される本コラムでは、さまざまな元気ある企業の活動事例、とくにデジタルテクノロジー関連の話題を取り上げて、経営戦略・戦術の足掛かりやヒントを指し示すつもりだ。特に、皮相的な変化を追うのではなく、本質的な変化を見極めるために役立ててほしい。本コラムは未来経営塾塾生のためだけではなく、広く一般の経営者やビジネスマンに読んでいただければ幸いだ。

AI、ロボット、IoT、VRなどのテクノロジーの進歩は、例外なくすべての業界に確実に影響を与えようとしている。しかも、従来よりも低コストで導入ができるようになったので、数々のテクノロジーを組み合わせることによる技術革新のスピードはすさまじく、影響の伝播スピードも強烈である。

中小企業やベンチャー企業こそ勇気を奮って既存の枠組みや業界の慣習をぶち壊し、イノベーションを起こして欲しい。それによって大企業を動かすような事業を生み出し、継続できるように、僕は経営者やビジネスマンを励まし応援し続けていきたいと思っている。劇的な変化が起きているのに、その変化を変化と感じずに受けて死んでしまう「ゆでガエル」にならないために、変化を仕方なく受け入れるのではなく、変化を起こす側に立てるようになってほしい。

蛇足だが、本コラムを定期的に届けられるかどうかは保証の限りではないことをお断りしておく。なるべく定期的に執筆するつもりではあるが、僕も普通の人間なので、たまにはサボりたくなるときもあるだろう。

ただし、できるだけ長く続けていきたいとも考えているので、企業の事例等だけではなく、時には趣味の絵画や旅行のこと、日々の生活での気づき、科学、哲学、歴史、漫画等の様々な話題を取り上げていくこともお許しいただければと思う。

最後に、本コラムは読み物として書くものであって論文ではないため、実際に見聞した事実以外の多くは日本経済新聞等の日刊紙、経済雑誌、書籍等に依拠するものではあるものの、元となる資料名等は明示しないことをお断りしておく。